tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

働き方改革? 働かせ方改革? 余計なお世話?

2019年12月16日 22時48分15秒 | 労働
働き方改革? 働かせ方改革? 余計なお世話?
 政府が「働き方改革」を言い出した時、一体何をやろうとしているのだろうと奇妙な感じを受けたことを覚えています。

 元来「労働」というものは本人の意思でやるもので、政府が「ああいう働き方はいけない」、「こう言いう働き方なら宜しい」などという事があり得るだろうかと思ったからです。
 
 もちろん企業が従業員に対して、そういう基準を示し、従業員により合理的、より効率的な働き方を要請するのは、給料を払っている以上は当然で、また、政府が、「企業に」対して、従業員に無理な働き方をさせてはいけないと労働基準法で決めるのも当然必要な事です。

 しかし「働き方改革」といえば、文字通り解釈すれば「個人の考え方」の問題で、政府がその自由に介入しようというのはどういうことかと思ったわけです。
 その後、働き方改革というのは労働時間の短縮を主眼にし、企業にそれを守らせることだとわかって、それなら言葉の使い方は別として結構なことだと思うに至りました。

 その後「同一労働・同一賃金」などの問題も入ってきて、これは大変だろうなと思っていましたら、やっぱり中身は正社員とパートの賃金のバランスの問題で、正社員同士の問題は触れないことになったようで、それならもっと別のアプローチがある、政府が手間暇(コスト)かける問題ではないのにと思っていたところでした。

 ところが、次に飛び出してきたのが、「副業、兼業の解禁」という方針です。
 せっかく労働時間短縮を目指し、ブラック企業を征伐するという旗を掲げたのに、今度は企業に、二重就業を認めよと言い出したわけで、私は肝を潰すほど びっくりしました

 そんなことは企業が自衛上の配慮もあり、従業員 や労組と話し合って決めればいいので、そんなことに官僚の手間暇をかける必要は全くないはずです。

 最近、地方銀行の中で(一部都市銀行でも)副業を認めよという動きがあり、マスコミによっては、政府方針が役にたっているような報道もありますが、中身は副業というより、 銀行業務の新展開を狙ったもので、実情は、ゼロ金利が続きすぎて銀行が疲弊しているという金融政策の歪みがもたらしたもののようでです。

 もともと、「人間の働き方」というものは個人の聖域であり、政府が余計な世話を焼くことではないでしょう。
 「働かせ方」なら、労働三法、特に労働基準法をきちんとすればいいのです。
 ご存知のようにILO条約の第1号は「週40時間労働」で、日本はまだそれを批准できていないのです。

 余計なことですが、以前ドイツのコール首相が来日した折、日本の新聞記者から「ドイツは労働時間が短いが二重就業が多いのでは」と質問されて、「ドイツ人は勤勉だからそういう事もあるでしょう」と答えていたことを思いだしました。

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